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【レビュー】『おしおきっ!』森島コン ── 少年と少女が交差する、少し不思議な“成長譚”
投稿日:2025年6月8日|カテゴリ:マンガレビュー|著者:管理人
はじめに
今回ご紹介するのは、森島コン先生による短編マンガ『おしおきっ!』です。タイトルから連想される内容には一定の刺激性がありますが、読み進めていくとそれ以上に「人間らしい感情」や「微細な心理のやり取り」が描かれており、単なる成人向け作品の枠を超えた印象を残します。
作品概要
- タイトル:おしおきっ!
- 作者:森島コン
- 出版社:茜新社
- 掲載誌:COMIC 高 2018年11月号(Vol.30)
- ページ数:24ページ
- 価格:330円(税込)
- ジャンル:オトナ向け/短編/心理描写
- 年齢制限:18歳以上
物語のあらすじ
静かな公園で読書をしていた女子高生の前に、やんちゃな少年が現れます。彼は同年代の女の子たちに、ちょっとしたイタズラ──スカートめくり──を繰り返しており、それを偶然目撃した彼女は見過ごさず、意外な行動に出ます。
「そんなに見たいなら、見せてあげようか?」と少年に向けて言い放つ彼女の姿勢には、一種の“教育的な意図”が込められているように感じられます。
そこから始まる2人のやり取りは、単なる懲らしめでも、恋愛でもありません。大人と子どもという立場を超え、人としてのあり方を問い直すような関係性が描かれていきます。
キャラクターの魅力
主人公となる女子高生は、冷静かつ理性的な印象を与える存在ですが、その内面には“正義感”や“優しさ”が秘められています。一方、蓮(れん)という名前の少年は、生意気な態度の裏に寂しさを隠しており、どこか放っておけない存在です。
この2人の心の距離感が、物語の進行とともに少しずつ縮まっていく過程は、短編ながら強く印象に残ります。
印象的なシーン
本作でもっとも心に残るのは、少年が彼の行動を振り返り、謝罪の言葉を口にするラストシーンです。それは大人に強制されたものではなく、自らの気づきから生まれたもの。たった一言の「ごめん」が、この物語のすべてを締めくくるにふさわしい温かさを持っています。
そしてそれを遠くから見守る女子高生の視線が、作品全体に優しさを添えています。
作品の特徴と作者の作風
森島コン先生の作品は、単に性的要素に頼るのではなく、「感情の細部」に焦点を当てる点が魅力です。本作もその例外ではなく、キャラクターの目線の動き、表情の変化、間の取り方に至るまで、繊細な演出が光ります。
また、ヒロインの“少し意地悪だけど根は優しい”性格描写がリアルで、物語全体に深みを持たせています。読み終えたあとには不思議と、どこか人間関係について考えさせられるような感覚が残るでしょう。
18禁作品としての取り扱いについて
本作は成人向けコンテンツとして区分されており、性的な表現も含まれています。そのため、読者層は明確に18歳以上に限定されます。
とはいえ、単なる刺激を追求した内容ではなく、キャラクターの心の成長や、過ちへの気づきを描いたストーリー性の強い作品であることから、オトナの読者が読み応えを感じられる一作と言えるでしょう。
まとめ:短編ながら心に残る“教訓と情感”の物語
『おしおきっ!』は、単なる大人向け作品として片付けるには惜しい、深いテーマ性を持った短編です。過ちを正すこと、誰かと向き合うこと、その先に生まれる小さな成長と変化──それらをシンプルなストーリーに凝縮して描いています。
「分からせ系」といったジャンルに分類されることもありますが、読後感はむしろ優しさと穏やかさに包まれたもの。 森島コン先生の表現力とキャラクター造形に魅了された方は、他の作品にもきっと惹かれるはずです。
気になる方は、是非一度その目で確かめてみてください。
※本記事で紹介している作品は18歳以上を対象としたコンテンツです。閲覧・購入は自己責任でお願いいたします。
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